増田悦佐著「日本と世界を直撃するマネー大動乱」を読んで。

 欧州の金融危機の元凶は、欧州の金融機関が堅実な経済で金利が急激に低下している国で借金をして、何時債務不履行に陥るか分からない金利が急騰している国の国債を買うことで、とんでもなく大きな利ザヤが稼げるという「キャリートレードの経済化」を行った結果なのでした。結果、元金すら回収できない状況が訪れてしまった、ということです。元々生産規模の小さい国同士でやるものだから、お互い無理な状況を招いてしまった、ということなのです。ドイツも含めて欧州の復活はもう無理かもしれないです。ましてやかって七つの海を制した過去の栄光から脱皮できないイギリス、実質農業国のフランス、借金大国のイタリアなどはそれ以上に深刻な状況です。

 目を米国に転ずれば、公的資金に助けられた大手金融機関の経営者達は巨額の報酬を受け取り、米国経済の再生など露ほども感じさせない程の政界経済界とつるんだトップ振りなのです。米国一般国民の税金を勝手に使い、一部の金融機関、大手企業だけが生き残る米国とは一体健全な国家と呼べるのでしょうか。ウォール街における格差反対デモを行った若者達には思わず同情してしまいます。米国の優秀な大学を卒業した一部のエリート達は、自分の収入のことばかり頭にあって、国家国民のことなどどうでもいいと思っているとしか思えないのです。(元々米国に国家観など存在しないという証左でしょうか。)

 米国の住宅ローン問題と言い、医療保険問題と言い、教育ローン問題と言い、クリーンエネルギー問題と言い、オバマは何一つ解決できないで任期を終えようとしています。これに環境問題を含めれば、現中国の胡錦濤の抱える問題と何ら変わらないのです。中国だけではなく、米国も実体は「革命」が必要と思われる程腐敗した資本主義国家そのものなのです。

 日本は、幸いなことに無為・無能・無策の三拍子揃った政治家のお陰で、且つキャリートレードを行う度胸もない経済音痴の法学部出身者で固められているアホな財務官僚共のお陰で、結果浅い傷で済んでいるのです。これは喜んでいいことなのでしょうかね。欧州や米国の会社をトップランクにしている「格付け会社」など、日本はしっかりと無視すべきなのです。大学の格付けにしても然りです。東大の先生方よ、上記のようにグチャグチャな欧米にした「優秀な」人材を輩出した大学など気にすることはないのです。日本の伝統的な考え方は、まだまだ海外でも十分通用するということです。否、これからは日本的な物の見方、考え方こそが世界を席巻するのです。日本人としてもっと自信を持ちましょうよ。(満開の桜と無縁な日本の卒業式・入学式をイメージするなんて、日本人ではないですぜ!)